菜の花サミット宣言
水環境を守るために始まった廃食油回収と資源としてのリサイクルの動きが、再生可能エネルギーというテーマと出会う中で、「菜の花プロジェクト」は、環境保全の運動を超えて、地域自立の資源循環型社会の具体的な地域モデルづくりとして進んできた。
「菜の花プロジェクト」は、農の機能を「食糧生産業」だけに限定せず、地域のの維持と創造のための「多面的な機能を引き出すムーブメント」である。
私たちは、この「農」が本来持っていた多面的な機能を引き出し、価値を評価することこそが、21世紀における地域の再生と日本の再生の鍵となると考える。
私たちは「菜の花プロジェクト」は、20世紀の近代化・工業化の中で失ってきた「資源循環のシステム」を甦らせ、21世紀を持続可能な世紀にするために、有効で、大いなる可能性を持つものであるということを予感している。
いま国は「食と農の再生を目指したプランを打ち出そうとしている。それは歓迎すべき方向である。しかし、「再生」を実効性あるものにするためにするには、「食の量的確保と農業土木偏重」という農政を大転換し、日本の「食糧・環境・資源エネルギー等の安全保障」の観点から関係省庁と連携しながら、具体的で有効なプランを策定するとともに、そのプランの実現を我が国の「明確な国家意思」にしなければならない。
生き生きとした地域の再生と資源循環型社会の形成には、「食糧の量と質の安全保障」と「農の多面的機能の活用」を中核にすえ、関係各省庁のビジョン・プランが統合された「再生プラン」が不可欠である。
私たちは「食と農の再生=アグリ・ルネッサンス」の鍵は「菜の花プロジェクト」が全国各地で試み、創り出してきた「具体的な地域モデル」の中にあると考える。
そこで、国に向けては、地域からの具体的な取り組みを踏まえ、「食と農の再生プラン」の具体化のための、国(関係省庁)と市民(消費者・生産者・NGO等)による「アグリ・ルネッサンス・プラン策定会議」を設置し、各地における取り組み実績を踏まえた「再生プラン」の策定とその実現を進めることを呼びかけたい。
同時に、このサミットに参加した私たちは、それぞれが進めてきた「菜の花プロジェクト」の意味と意義を確認し、この流れが21世紀への大河へと導くものであるという自信と希望を持ち、近い将来の日本列島の春が鮮やかな菜の花色に染め上げられるよう、ともに、元気に、明るく「菜の花プロジェクト」を進めていきたい。
ここから時代が変わるという期待をこめて、「菜の花サミット2002宣言」を行う。
2002年5月18日
青森県横浜町にて開催した「菜の花サミット2002」に参集した一同