最終更新日 2005-08-31
住所 | 〒520-8577 滋賀県大津市京町四丁目1-1(滋賀県庁内) |
TEL | 077-528-3493 |
FAX | 077-528-4847 |
URL | http://www.pref.shiga.jp/d/new-energy/ |
担当者 | 杉本茂 ・ 松田和浩 (県エコライフ推進課 地球環境・新エネルギー室) |
機関紙 | |
会員数 |
活動の概要
背景
- これまで,人類は化石燃料に依存することにより,豊かで快適な生活を追及してきました。
しかし,一方で、大気汚染や地球温暖化など地球規模での環境問題や,資源・エネルギー源の枯渇問題を引き起こしてきました。
環境の世紀と言われる21世紀においては大量生産・大量消費・大量廃棄を行ってきた20世紀の反省の上に立って環境保全、資源の有効利用に軸足を移した新たな枠組みを作ることが求められています。
ねらい
- 化石燃料の使用を少しでも減らすとともに,地球温暖化問題に貢献するために,多面的な機能を有する なたねを栽培し,その油を食用に利用した後、軽油に代わる燃料として精製することで、環境にやさしいエネルギーの創出とともに地域における資源循環システムの構築を目指します。
- また,なたねの栽培により 本県らしい風景を創出し,観光資源としても利用するとともに環境学習の素材としての活用も進めます。
◇なたね栽培の推進(農政水産部農業経営課)
- なたね栽培実験事業(平成11年度から14年度) 意欲ある営農集団等の創意工夫による なたねの集団的栽培を支援することにより,省力安定栽培技術体系の確立を図る。
- 湖南地域振興局管内(守山市 矢島地区)
- 東近江地域振興館内
- (八日市市上平木町,近江八幡市多賀地区,安土町桑実寺地区)
- 湖東地域振興局管内(愛東町 下中野地区)
- 湖北地域振興局管内(長浜市 高橋地区)
- 湖西地域振興局管内(新旭町 藁園地区)
- なたね栽培推進事業(平成14年度から17年度) なたねの安定した生産を推進するために,安定多収低コスト生産技術の確立や,集団栽培に対して支援を行い,本県に適した優良品種の供給体制の整備を図る。
- 栽培面積の推移
- 「ななしきぶ」
- 東北農業盛岡試験場(現、東北農業研究センター)において「盛岡148」を母、「オウミナタネ」を父とした人工交配により、育成され、平成14年12月に なたね農林49号「ななしきぶ」と命名された。
- 滋賀県内では、平成15年秋播の種から「ななしきぶ」の種を供給している。
特徴として、エルシン酸を含まないので食用に適し、温暖地栽培に適した品種といえます。
◇菜の花で「うみのこ」を動かそう事業(教育委員会事務局学校教育課)
- 県内小学校・障害児教育諸学校(241校)による菜の花の栽培
県内の小学校3年生児童が、菜の花を栽培し、4年生で菜種油を学校給食に利用した後で、5年生で乗船する「うみのこ」の燃料づくりにつなげる活動を通して、省エネルギーなどの環境学習の推進を図っています。(平成14年から)
◇「湖国を走るバイオ燃料」パイロット・モデル事業(平成16年度から)
(琵琶湖環境部エコライフ推進課地球環境・新エネルギー室)
- 「しが新エネルギー導入戦略プラン」で掲げる「バイオデイ―ゼル燃料製造」の目標値<2010年度までに,2001年度比で6倍の220KL>を実現するため、民間バス事業者によるバイオデイ―ゼル燃料の実証的な取り組みに対して必要な経費の一部を支援するものです。
- バイオデイ―ゼル燃料の普及と利用拡大を目指します。
- 「びわこ横断エコバス」でのバイオデイ―ゼル燃料利用
- JR堅田駅と守山駅間を結ぶ定期路線バスでバイオデイ―ゼル燃料を用いて、近江鉄道と江若交通がバス運行を行っています。
- この取り組みは、民間路線バスとしては全国初めてであり、平成16年度の目標乗客200人/日に対して、約2倍の利用を達成しています。
- 「湖東三山シャトルバス」でのバイオデイ―ゼル燃料利用
- 尼子駅(近江鉄道)~西明寺~金剛輪寺~百済寺の間を運行するもので、平成17年度は、春と秋の観光シーズン(5/14~5/29の土日及び10/29~11/30)に運行します。
◇東近江菜の花プロジェクト(平成15年度から)
- 廃食油回収システムの整備と なたねの地産地消の促進に取り組んでいます。(東近江地域振興局)
- ガソリンスタンドでの廃食油回収
- 平成16年5月1日から、近江八幡市,安土町,竜王町,旧五個荘町の8業者12ガソリンスタンドにおいて、家庭から出る廃食油の回収を始めました。
- 平成17年7月1日からは,新たに東近江市内の9業者11スタンドでも回収を始めています。~ここでは、ガソリンスタンドへ給油等で来店された際に、空き時間を利用して廃食油を入れることが出来る「回収BOX」を設置しています。(黄色ののぼり旗が目印です。)
- 菜種油の地産地消の促進 平成16年度から、東近江地域の地元で栽培された なたねから採った菜種油を地元で利用する「地産地消」活動に取り組んでいます。
- ガソリンスタンドでの廃食油回収
◇バイオデイ―ゼル燃料とは
- 植物性廃食油を原料とする非化石燃料で,廃食油にメタノールを添加し,アルカリ触媒により脂肪酸をメチルエステル化したものです。
- バイオデイ―ゼル燃料の燃焼によって、発生する二酸化炭素は、植物の生長過程で光合成により大気中から吸収したものであるため、燃焼させても地球上の二酸化炭素は実質的に増減しない、いわゆるカーボンニュートラルという特性を待っていることから、地球温暖化防止に有効な循環型のエネルギーといえます。
- また、酸性雨の原因物質となる硫黄酸化物がほとんど排出されないほか、黒煙の排出量も抑制される良質な燃料です。
- バイオデイ―ゼル燃料を利用した場合
- 二酸化炭素(CO2)の総排出量(ライフサイクル)は、軽油に比べて、BDF20%混合油で15.66%、BDF100%で78.45%低減されます。
- 硫黄酸化物(SOX)がほとんど排出されません。
- 排気黒煙(SMOKE)が軽油に比べて10~50%低減されます。
- 軽油に比べて熱効率が高い燃料です。
- 軽油(鉱物油)より生分解に優れ、環境への影響は少ない燃料です。
- 廃食油の回収による水環境や下水処理場の負荷削減につながります。 (H12.滋賀県バイオマス利用可能性調査・県立大学工学部 山根教授研究資料抜粋)
活動の歴史
県の取り組み
- H11. 6 「湖国菜の花エコ・プロジェクト」の取り組みに着手
- H11.10 なたね栽培実験事業の開始(県内5地区、5ha)
- H12~ なたねの品種選定、なたねを用いた特産品開発の実施
- バイオ燃料のエンジンシステムの有用性に関する研究の開始
- H12.4 廃食油再資源化推進事業の実施(市町村での廃食油回収システムづくり支援)
- H12.9 栽培実験事業により収穫されたなたねを利用した資源循環モデルの実施
- (実験田のなたね油→県職員食堂で利用→廃食油を回収しバイオ燃料化→
- 「滋賀環境ビジネスメッセ」(H12.10のシャトルバス燃料に混合使用)
- H13~ 水と緑とまちの景観回廊づくり計画策定に着手
- 酵素法による廃食油の燃料への転換技術の開発の実施
- H13.4 習船「うみのこ」の燃料にバイオ燃料の利用(10%混合)開始
- H13.4~ 県関係イベントのシャトルバス燃料にバイオ燃料を混合使用
- H13.5 平成14年度政府提案書を提出 農業総合センターのトラクターにバイオ燃料を使用開始。
- H13.11 実験田のなたね油を県職員生協食堂フェア、一部の学校給食で使用
- H14~ なたねの生産モデル設置の開始
- なたね種子確保体制整備事業の開始
- 菜の花で「うみのこ」を動かそう事業に着手
- 県有バスの燃料にバイオ燃料を試験的に使用
- H14.5 平成15年度政府提案書を提出
- H14.11 平成15年度政府提案書(秋)を提出
- 実験田のなたね油を県職員食堂、一部の学校給食で使用
- H15.4 東近江菜の花プロジェクトに着手(東近江地域振興局)
- H15.5 平成16年度政府提案書を提出
- H16.3 「新エネルギー導入戦略を考える滋賀県懇話会」からバイオデイ―ゼル燃料製造の将来目標を含む「新エネルギーの導入・推進」にかかる提言を受ける
- H16.4 「湖国を走るバイ燃料バス」パイロット・モデル事業に着手
- H16.5 東近江地域振興局管内の8業者 12ガソリンスタンドにおいて,家庭から出る廃食油の回収に着手(東近江地域振興局)
- H16.10 民間バス事業者による「びわこ横断エコバス」運行開始(バイオ燃料利用)
- 民間バス事業者による「湖東三山シャトルバス」運行開始(バイオ燃料利用)
- H16.10 しが新エネルギー導入戦略プラン策定
- H17.2 しが新エネルギー県民協働プロジェクト「バイオ燃料利用促進プロジェクト」設置
県内での取り組み
- H13.3 地域新エネルギービジョン策定(野洲町、米原町、新旭町)
- H13.4 菜の花サミットの開催(新旭町)
- H13.5 ゴールデンフェスタ2001菜の花祭の開催(愛東町)
- H13.9 エコドライブ走行実験(社団法人 滋賀県トラック協会)
- H14.3 地域新エネルギービジョン策定(八日市市、愛東町)
- H15.2 地域新エネルギービジョン策定(草津市、竜王町)
- H16.2 地域新エネルギービジョン策定(近江八幡市)
- H16.8 琵琶湖横断エコ交通推進協議会設立(社団法人 滋賀県バス協会等)
- H17.1 「あいとうエコプラザ菜の花館」開館(愛東町)
- H17.2 地域新エネルギービジョン策定(安土町)
活動の課題
- なたね栽培については栽培体系の機械化、生産コスト、国庫補助制度の充実
- なたね油の利用については市販の植物油との価格差
- 廃食油の回収については市町村等での回収システムづくり
- バイオ燃料化については品質の確保(規格化)と精製コスト
- バイオ燃料の使用については軽油との価格差、エンジンシステムへの影響 etc.