83.NPO法人 伊万里はちがめプラン

最終更新日 2010-2-26

住所 〒848-0022 佐賀県伊万里市大坪町狩立乙 2436-1
TEL 0955-22-4058
FAX 0955-22-4058
URL http://hachigame-plan.org
E-mail
担当者 福田 俊明
機関紙 「生ごみを宝に!!」 年1回
会員数 300名

はちがめの環境保全活動の概要

WS500116 20世紀の急激な日本経済の発展は、「大量生産」・「大量消費」・「大量破棄」の社会現象を招き、地球が長い年月をかけて蓄えてきた豊かな資源や環境を、私達人間は、快適さと引き換えにわずか100年で壊そうとしている。自然の循環を無視した現在の経済社会においては、大量の化石燃料を消費することによって今日の繁栄が成り立っている。このような経済活動が地球温暖化・環境ホルモンなど環境破壊の原因となり、平和に暮らしている小さな島国の人々のみならず、物言わぬ生物達の生命をも危うくしている。

 

①活動の目的

伊万里市(平成17年人口58,500人)における可燃ごみの焼却量は1日45㌧、 年間4億5,000万円の大金で焼却処分し、2,500㌧の廃棄物である焼却残灰を生産している。全国の自治体がかかえるこのようなごみ問題を解決するため市民が中心となり、各種団体・事業者(農家)・大学・行政・NPOが協力して「ごみ減量」という課題に取り組むと共に、資源循環型社会構築を目指した生ごみや廃食油その他有機性廃棄物の資源化、リサイクル活動を行ない、素晴らしい現在の地球環境を守り、未来の子供達へ手渡すことを目的に活動を行なっている。

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②生ごみ堆肥化活動

最初、生ごみ分別協力事業所3軒から始まった活動も、微生物の研究開発や環境保全啓発活動を経て平成12年、生ごみ堆肥実験プラントが完成、現在では食品関連71事業所、一般家庭生ごみステーション27カ所:250世帯の参加協力によって1日2㌧の生ごみを回収、佐賀大学の指導を受け100日かけて醗酵熟成させ微生物を多く含んだ良質な堆肥800㌔ / 日を生産している。堆肥の販売は、はちがめ農産物直売所の契約農家による環境保全型農業での使用と共に、レストランや旅館、観光案内所、花屋さん等での小袋2k入100円の販売が家庭菜園やガーデニング愛好家に好評で 好調な売れ行きである。

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③伊万里菜の花プロジェクト活動

活動の経緯

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はちがめ堆肥を活用した環境保全型農業の普及啓発を推進するとともに、小中高校生や市民ボランティアの協力を受け菜の花を栽培する。美しく素晴らしい菜の花の景観を楽しみ、遺伝子組み換えのない有機栽培での安全な菜種油や野菜を生産し、これを飲食店や市民に提供、使用後の廃食油はBDFに精製、クリーンなバイオマス燃料としてディーゼル自動車等に活用している。

WS500132 菜の花プロジェクト普及啓発活動として地球温暖化防止「環境杯」菜の花普及グラウンド・ゴルフ大会を「いまり菜の花会」の皆さんと共に年2回開催している。平成21年11月に第12回を開催、参加者は佐賀県全域と長崎県・福岡県等から年間約1,200名の参加を頂き、秋の大会では希望者に菜の花苗30本とはちがめ堆肥を配布、皆さんに好評で大会は年々賑わいを増し、盛り上っている。

これらの活動により平成19年3月佐賀県菜の花ネットワーク(会長・田中欽二元佐大教授)が15団体10人の個人で結成され、近隣の市町村や市民活動グループから菜種の搾油依頼やBDF(廃食油ディーゼル燃料)の生産と活用等についての問い合わせが入り始め、食資源循環の「環」が確実に広がっている。

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④ 佐賀大学との連携・環境学習の推進

WS500125 佐賀大学では、平成15年度に地域貢献事業として「むらとまちを結ぶ有機資源循環ネットワーク支援事業「はちがめエココミねっと」を発足させ、本事業に対し学術的、技術的支援を中心とした全面的な協力体制が整えられ、支援が開始された。

佐賀大学の支援と指導によって、当施設見学者用の資料製作の充実に伴い、パワーポイントによるプレゼンテーションの効果が格段と向上している。さらに、小中高校での総合学習、一般市民との環境フォーラム、環境学習会などに佐賀大学の先生方の参加協力による指導を受ける中で、市民や子供たちの信頼を得ることができ、伊万里の環境啓発運動が環境サポートの育成等により、質の高いものになると共に飛躍的な広がりを見せている。 これらの活動により、多くの市民の皆さんに生ごみを税金で焼却処分することへの疑問が徐々に浸透し、市民の生ごみ資源化活動は現在27ケ所の生ごみステーション:250世帯の家庭が自ら1ケ月500円を負担し、年間約63㌧の生ごみ分別回収と堆肥化に参加協力をして頂いている。

新たな学生の教育の場として平成17年度には「資源循環」型コミュニティ創造プログラム「はちがめサテライト」が創設され、地域における課題である生ごみの堆肥化による可燃ごみの削減や堆肥を利用した農産物のブランド化と、直売所の運営による地産地消の推進を学生参加によって行なうプログラムがスタートした。

その拠点となる「はちがめサテライト」教室も平成18年3月にはちがめプランの敷地内に新築完成。地域資源循環による地域の再生論など種々の授業を開始しており、基礎教育科目や各学部の専門教育科目のカリキュラムが多 数実施されている。

はちがめサテライト教室は、社会人の生涯学習や市民団体の環境研修、小中高校生の環境教育にも活用されており、説明用視聴覚機材の充実により見学研修者に大好評である。さらに、同大学農学部の学生や大学院生による生ごみ堆肥化課程における物質変化や悪臭低減化、微生物の動態に関する研究などが実施され、成果発表会が毎年開かれている。

⑤ 国際協力

WS500122 平成16年8月国際協力銀行の要請を受け バンコクで開催された タイ環境教育ワークショップにおいて はちがめプランの環境保全活動を発表。活動が、主催者であるタイ環境省と国際協力銀行に認められ、平成17年度は東京のNPO法人元気ネット、佐賀大学農学部、伊万里はちがめプランとが協働して生ごみ堆肥化の技術指導とコミュニティ活動によるネットワークづくりに対する調査・支援事業をバンコクのチュラロンコン大学の協力を受け、ウボン県とグラビ県の2ケ所で行なった。

この活動の経験と成果が各方面に認められ、平成18年度から、はちがめプランの食資源循環による環境保全活動に対して中国や韓国から直接申込んでの見学や国際協力機構(JICA)紹介による海外からの視察研修者が年々増加している(平成21年度 7団体 75名)。

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◇最近の受賞歴

平成19年 3月  第10回環境コミュニケーション大賞 審査委員会特別賞  環境省
10月  食品リサイクル推進 環境大臣賞 奨励賞 環境省
平成20年 9月  第3回ソーシャルビジネスアワード ソーシャル・エコビジネス賞  NPO法人 S・Iジャパン
10月  循環型社会形成推進功労者   環境大臣賞   環境省
11月  共生・地域文化大賞(法然上人八百年大遠忌記念事業)  浄土宗
12月   エコで賞イン佐賀コンテスト    最優秀賞(全国大会出場)   環境省
平成21年 3月   佐賀県環境にやさしい県民運動推進功労者賞    佐賀県