◆ 愛東町のケース(廃食油回収から菜の花プロジェクトへ)


 ここでは、早くからこのプロジェクトに取り組んできた愛東町のケースをモデルにして、その仕組みを紹介します。

 菜の花プロジェクトは「資源循環型社会づくり」をめざしていますから、取り組みの仕組みもループになっているため、「始まり」をどこにするか悩みますが、やはり、この運動のきっかけになった廃棄物(ゴミ問題)処理から説明することにします。


■毎月1回「資源の日」

 愛東町では、家庭から出る資源ゴミを回収する「資源の日」が、毎月1回設けられています。「資源」として利用するために、ビンは「白・茶・青・その他」に、缶は「アルミ・スチール」に分別されます。牛乳パック、使用済み電池なども資源ゴミとして回収されます。
 もちろん「廃食油」もこの日に回収されます。
 こうして集落ごとに集められた「資源ゴミ」は住民自らが、各集落から愛東町のストックヤードまで運びます。

(廃食油回収ポイントは現在滋賀県下に約300ポイントあります。)


■ストックヤードに集められた資源ゴミ

 資源ゴミは、種類ごとに整理され、廃食油はポリタンクで貯蔵されます。牛乳パックは環境生協が引き取り、その他の資源ゴミはリサイクル業者に引き取ってもらいます。

■粉石けんにリサイクル

 廃食油の一部は「粉石けん」にリサイクルされます。ミニプラントとして町が利用しているのが「ザイフェTG型」。このミニプラントは愛東町で購入し、ストックヤードに設置しています。

 ミニプラントでつくられた粉石けんは、ペットボトルに詰められ、500ミリリットルが100円、 2リットルが200円で町民に販売されます。マーガレットステーションで一般の人も購入できます。

■バイオ・フューエル(軽油代替燃料)に精製

 廃食油のもう一つのリサイクルとしてバイオ・フューエル化があります。廃食油の燃料化に使うミニプラントもストックヤードの中に設置されています。このミニプラントでは1回で100リットルの廃食油にメタノール反応をさせ、100リットルの軽油代替燃料を精製できます。

 愛東町ではこのプラントを「WOFプラント」と呼んでいますが、県下の自治体では八日市市、新旭町でも導入が行われ、全国でも自治体や企業団体での導入が進んでいます。

視察の人に燃料化ミニプラント「エルフA型」の仕組みを説明しているところです。
 廃食油燃料化プラントを導入しているところは県内では3カ所、県外では5カ所の計8カ所です。うち自治体5カ所、福祉団体2カ所、企業1カ所。(2000年5月1日現在)

■バイオ・フューエル(軽油代替燃料)の利用

 こうしてつくられたバイオ・フューエルは、軽油で走っているディーゼルエンジン車に軽油に替わる燃料として利用できます。
 愛東町では公用車の燃料として使っていますがバイオ・フューエルの精製量が増えてくれば、自動車燃料としてだけではなく、農耕用の機械燃料や琵琶湖での漁船・クルーザーなど船の燃料として幅広く利用できます。
 地域内で集めた廃食油からできる燃料なので、できるだけ地域内で利用しようというのがこのプロジェクトの狙いです。

軽油に比べてSOxや排煙の排出が極端に少ないところから、温暖化防止などにも効果があり、資源とエネルギーの両面から有効です。

■イエロー菜の花エコプロジェクト

 琵琶湖の水質汚染の原因になる廃食油をリサイクルする「粉石けんづくり」が、「軽油代替燃料化」の動きにつながる中で、地域の中にあるバイオエネルギー(植物系の資源から生み出されるエネルギー)にもっと注目しようというプロジェクトが生まれました。
 それが「イエロー菜の花エコプロジェクト」です。
休耕田を利用して春の風物詩の菜の花畑を甦らせ、農業振興と観光振興を図り、菜の花から生まれる食用油は学校給食など地域で利用し、その廃食油を軽油代替燃料にしようというものです。
 このプロジェクトが広がると、菜の花畑は「巨大油田」に替わります。


■菜の花づくり(植え付け)

 さて、こうして愛東町では菜の花づくりへの取り組みが始まりました。
 かつて、滋賀県での菜の花栽培は直接田圃に種を蒔くのではなく、苗を育て、それを移植する方法で行われるのが一般的でした。そこで、1998年はこれと同じ方法で作付けを試みました。
 2000年?、県が栽培実験事業として県下5カ所で行っているのは、田圃に直接種を蒔く方法です。


■菜の花づくり(子どもたちの参加)

 菜の花プロジェクトの面白さを子どもたちにも体験してもらおうと愛東町がつくったのが「なんでもチャレンジ隊」です。
 植え付け作業から刈り取り作業、それにこの後に出てくる搾油作業などにチャレンジしてくれました。
 今年も、下中野地区では「菜の花エコ学習会」を開いて、プランターに菜の花を移植したり、菜種でつくった油を使っての料理教室やリサイクルの学習会などもしています。


■菜種の取り入れ

 菜種は枝から伸びる細長い鞘に入っています。昔は、菜種を根本から刈り取り、しばらく天日干ししたあと、それをたたいて鞘の中の種を取り出しました。その時に、種と一緒に鞘なども混ざるために、種を選り分けるために「唐箕(とうみ)」と呼ばれる農機具が使われました。
 写真はその「唐箕」を動かしているところです。 ハンドルを回すと中の羽が風を起こし、種以外のものを吹き飛ばしてくれます。
 上から刈り取った菜種を入れてハンドルを回すと、手前の口から選別された菜種が出てきます。


■菜種油の搾油
 昨年の菜種の搾油には県の農業試験場に協力をしてもらいました。
 菜種から菜種油を搾るには、そのままよりも熱処理を加えた方がよくとれます。写真は試験場の施設で加熱をした菜種を取りだしているところです。
 そして、いよいよ搾油器にかけ、菜種油ができあがります。


■菜種油のできあがり

 菜種油の出来上がりです。 左の写真は、昨年、農業試験場で搾油したときの、できあがった菜種油が出てくるところです。
 右は、今年搾油作業をしてもらう愛知川町の愛知食油株式会社の商品ラベルです。


■重要な副産物「油かす」

 菜種の搾油から生まれるもう一つの大切な副産物が、いわゆる「油かす」。
 写真ではちょっと見にくいかも知れませんが、手前の黒っぽい山が、つくられた油かすです。これは良質の肥料となって再び農作物づくりに利用されます。
 また、ここでは紹介できませんでしたが、菜種の茎も堆肥化することで有効利用でき、搾油課程から生まれるグリースも広い用途があります。
 このようにして、地域内で資源を循環させる仕組み。それが「菜の花プロジェクト」なのです。


■美味しい料理を次の「エネルギー」に

 「資源循環型社会」「地域自立のエネルギー」のためには、地域の最大の資源である「ひと」のエネルギーが一番大事です。
 菜の花プロジェクトが生み出す美味しい菜種油を使った料理をいただきながら、次のエネルギーを蓄えることは、生き生きした地域づくりのためにはとても大事な事だと思います。


 あなたもぜひ、菜の花プロジェクトに参加して下さい。


 そうそう、天ぷらをつくったあとの廃食油は、棄てないで、必ず資源回収に回して下さいね!

 どうでしたか?「菜の花プロジェクト」の資源循環サイクルの仕組みが見えてきたのではないでしょうか。ここでもう一度、資源循環サイクルイメージ図を示します。